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生産性新聞連載記事「働き方改革を支える生産性向上」(6)

経営コンサルタント 幸田 千栄子(Chieko Kouda)

幸田 千栄子

(6) 女性活躍推進は多様性を生む


 女性が働きやすい職場になるには、長時間労働や画一的な働き方、男女による賃金格差等の諸問題を解決していかなければなりません。 それと同時に、女性が出産・子育てをしながら働き続けることが当たり前の企業風土にしていくことが重要になります。

◆女性活躍推進とダイバーシティ推進
 女性活躍推進はダイバーシティ推進の取り組みの一つです。ダイバーシティとは、「多様性の受容」を意味しています。性別、身体状態、人種、国籍、年齢、雇用形態等の外見的な違いだけではな、宗教や価値観、性格、態度、嗜好等の内面的な違いも受け入れ、認め、生かしていくことを目指します。 多様な人材の能力や発想を統合することで、企業の競争力強化につなげた事例が多くあります。

◆現状認識とありたい姿、基本方針
  まずは自社の現状を把握することです。 女性管理職数や管理職候補者数、出産・育児休業者数、時短勤務者数等、数値で把握できることはもちろん、管理職が女性活躍の支援をどのように実施しているか、また女性が活躍する上での課題等の定性的なことを社員へのインタビューやアンケートを通じて確認することも必要です。
  次に、ありたい姿を描き、実現のための基本方針を描きます。 現状とありたい姿とのギャップが問題であり、基本方針に基づきその問題を解決する課題を立案します。その上で他社事例も参考にしながら、自社の具体的な行動計画を作成します。

◆課題解決と効果
  女性活躍推進の主な課題は、経営層・管理職層の理解、女性社員の意識改革、女性管理職の育成の三つです。
  経営層・管理職層の理解を浸透させるには、経営戦略・人事戦略の中に位置づけ、経営者のリーダーシップのもと推進します。 具体的には、経営者自らが女性活躍推進に対する考えや方針を繰り返し内外に発信することです。そして、推進部署を設置して、経営層や管理職層に女性活躍を理解させるための研修を実施します。
  女性社員の意識改革を行うには、意欲と能力のある女性社員を早期に選抜することです。選抜基準を公表し、自ら参加したいと手を挙げる人や上司からの推薦者を対象にします。上司とともに5年から..年を見据え、仕事を通じてどのような経験を積んでいくかキャリア計画を立てます。 そして、女性社員の意識を高めることを目的に、会社の考えや方向性を理解するための経営者の講話や女性活躍が進む社会の動きを理解させるための専門家の講演会を実施します。
  女性管理職の育成では、目指したいと思えるロールモデルを提示します。ロールモデルは全てを備えた人を求めるのではなく、仕事と子育ての分野、リーダーシップの分野、部下育成の分野等、学びたい分野に分けて提示します。また、メンター制度も有効です。仕事の進め方や仕事への取り組み方等、相談できる先輩社員(メンター)をつけます。 メンターの役割は、後輩社員(メンティ)が自ら考え行動する手助けをすることであり、直接仕事の指示命令を受けない直属の上司以外の人とマッチングします。
  女性管理職だけの研修を実施することも効果的です。 管理職として求められるものは男女同じなので女性だけが対象なのはふさわしくないという声もありますが、実施してみると、「女性が少ないので頑張りすぎてしまう」という本音や「子育てをしながら管理職の仕事とどうバランスをとればいいのか」という相談など女性特有の共通課題が浮き彫りになり、女性だけで話し合うことで解決の道筋が見え、受講生の満足度は高くなります。
  女性活躍推進に取り組んだ効果として、優秀な人材を引き付け、職場全体の働き方にも影響を与えます。 比較的時間の制約が多いとされる女性が活躍することで、仕事の工夫や改革ができ、新しい仕事の仕組みを構築し、新しい発想がもてるようになります。
  女性が活躍しやすい職場環境は、高齢者や外国人など多様な人材が活躍する働き方改革を実現し、さらに生産性向上につながるという理解が重要です。

(筆者略歴)人事領域の診断、制度設計・運用、人材育成、業務改善、キャリア開発・キャリアカウンセリング、女性活躍・女性能力開発などを中心にコンサルティング及び研修講師として指導にあたる。評価者研修や女性部下をもつ管理職研修、女性管理職研修で幅広い実績を持つ。

(2017年7月5日 生産性新聞掲載)



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